トラウマサミット2022【ピーターラヴィーン】最も誤解されている苦しみの原因であるトラウマ

2022/09/04

トラウマに関する多くの誤解

トラウマに関する多くの誤解をピーターラヴィーンはわかりやすく、何が違っているのか解説してくれています。

①理性やことばではなく、身体へのアプローチが必要であること
②出来事だけが原因ではない
③一気に取り組むのではなく、時間をかけて取り組む必要性

 

トラウマは間違いなく、最も避けられ、無視され、軽んじられ、否定され、誤解され、しばしば未処理の人間の苦しみの原因−ピーターラヴィーン


言葉はトラウマに触れないです。
しかし、現実にいまおこなわれているセラピーには、認知行動療法やトークセラピーがあり、それによってトラウマを追体験させてしまうようなことがおこなわれており、それについてピーターラヴィーンは同意できないと言っています。

トラウマセラピーの鍵は、神経系や器官をリセットして、現在に戻ることができるようにすることが重要であり、トラウマの癒しには、生きている身体にコヒアレンス(一貫性、一体化)をもたらさなければならないと。

ピーターラヴィーンが彼の著書『身体に閉じ込められたトラウマ : ソマティック・エクスペリエンシングによる最新のトラウマ・ケア(IN AN Unspoken Voice)』に書かれたトラウマの定義をいま追加するとしたら、このようになるという。
トラウマとは、「私たちに起きたこと“だけ”ではありません。共感的な目撃者がいない時に私たちが内側に抱えるもの」である。

また、フロイトのトラウマの定義「刺激に対する防御壁の破れであり、圧倒的な無力感をもたらすもの」というものに対して、ピーターラヴィーンは「トラウマとは、過剰な刺激に対する防護壁の破れであり、圧倒的な無力感をもたらすものである」とも言っています。


彼の最新の著書は「トラウマと記憶」ですが、トラウマと記憶に関する誤解も多く、トラウマの記憶というのは、情動記憶であり、手続き記憶でもあり、潜在記憶です。自転車の乗り方を覚えたら、しばらく運転することがなくても身体に記憶がされているため、忘れることがない種類の記憶です。トラウマは身体的記憶であり、無意識的で、認知療法などのトップダウンのアプローチをやる前に、最初はボトムアップの身体からのアプローチが必要で、両方のアプローチを使用する必要がある。

身体にアプローチする際も、トラウマセラピーの場合は、一気にやるのではなく、「タイトレーション(滴定)」と言って、薬を少しずつ処方して、適量にしていくように、少しずつ働きかけていく必要があります。

日本でも、ピーターラヴィーンのソマティックエクスペリエンスのトレーニングは開催されているので、ご興味のある方はぜひ問い合わせていただければと思います。

今年のトラウマサミットも参加者のみなさまのおかげで無事に開催を終えることができました。
昨年の参加者の方が再度参加してくださったり、昨年の参加者の方がご自身でも勉強され、多くの知見を身につけている様子も伺えて、私たちも大変やりがいを感じさせていただきました。ありがとうございます。